初版が1981年で改訂版が出たのが1996年。改訂版でも20年前の本ではあるが、学力の本質が説かれている。
これから子育てする人は一度読んでおいて損はない本だと思う。
- 作者: 岸本裕史
- 出版社/メーカー: 大月書店
- 発売日: 1996/03/01
- メディア: 文庫
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本書は大きく、以下の二部構成となっている。
- 第Ⅰ部 見えない学力を豊かに
- 第Ⅱ部 見える学力を着実に伸ばす
見えない学力
見えない学力とは何か?ひとことでいうと「言語能力」である。
言語能力は学力の土台であり、知的能力の核心と著者は書いている。
言語能力を高めるために
次のようなことを意識するのが良いようだ。
親は抑圧的であったり、子供を傷つける言葉を避ると共に、筋道の通った日本語で語りかける必要がある。
具体的にいうと、一言で終わる「うるさい」とか「はよしい」といった言葉は子供が考える必要が無くなるので厳禁。主語・述語・順接・逆接などをふんだんに使った会話を行い、論理的な思考ができる環境を与えることが重要となる。
また、言葉を多く知っておくことも重要であり、日常会話の中で多くの語彙に触れさせるのが良い。
言語能力以外では
読書習慣の重要性や遊び、特に集団で遊ぶことの重要性、規則正しい生活の重要性などが書かれている。
また、毎日勉強する習慣をつけるにはどうすれば良いかという具体例も書かれており、読んでいて確かにこれならできそうという気になった。
見えない学力(言語能力や学習の習慣)がしっかりしていれば、
見える学力
見える学力とは学校の成績のこと。
重要なのは読み書きと計算になるが、それぞれどのようにして力をつけさせればいいか、また、嫌がる場合にはどのように仕向けるのがいいかというようなことが書かれている。
学校の教材を一緒に読んだり、計算についてはゲーム的な要素を取り入れ、自分の能力が向上しているのがわかるように記録をつけるなどの手法が紹介されているが、ここでもやはり親がどう関わるかというのが重要なことに変わりはない。
まとめみたいなの
以前、子供の好奇心をくすぐってやるとか、興味を持ったことをサポートしてあげたいとかそんな内容のことを書いた。
この本を読んで思ったのは、ある程度の学力がないと、興味を持つことの幅も少なくなってしまうということ。
言葉をたくさん知ってないと、ニュースとか本を読んでもピンとこないかも知れない。計算ができないと地球の大きさや宇宙の果てしなさに胸をわくわくさせることもないだろう。
技術が発達し、漢字を書く機会や、計算する機会が減ってはいるものの、学力の本質は今も昔も変わらないと思う。 しっかりとした基礎学力がないとその上には何も積み上げられない。将来の幅も大きく変わってくるので、子供にはしっかりした学力をつけさせてやりたいと改めて感じた。