なか日記

一度きりの人生、楽しく生きよう。

『羊と鋼の森』 by 宮下 奈都

羊と鋼の森 (文春文庫)

羊と鋼の森 (文春文庫)

4月末頃から、小説を読むことが多くなった。これもその1冊。

「ピアノ」「調律士」という言葉が気になって選んだ。 そんな私は、楽譜は読めないし、当然ピアノを弾くこともできない。

目次

羊と鋼の森

読んだ後の書き殴り

新米のピアノの調律師が主人公。高校の時に学校で出会った調律師に魅せられて調律師になることを心に決める。

エンターテイメント的な話ではなく、いい意味で淡々と主人公やその同僚、お客さんとの物語が展開される。自分がどこまで行けるのか、正解のない調律という仕事に対して不安や葛藤を抱くその姿には年代やフィールドを超えて共感を覚える。

そして、この本の文章、特にピアノやそれが発する音に関する描写は美しく、すがすがしい。この本を読んでいると音楽の良さというか、人生の一部に音楽がある事でより彩りのある生活を味わえるんじゃないかという気持ちになる。

自分は楽器は弾けないし、楽器の音色を味わう耳を持ち合わせているとも言い難い。だからこそこういった世界に惹かれるのかもしれない。

読んでみて(後から冷静に振り返って)

音楽はもちろん、何でも「楽しめたらそれでいいじゃないか。」

確かにそうだ。

でも、この小説に書かれているように音の違いを色鮮やかに感じることができたら素敵だと思う。

そんな才能というか、感覚にあこがれを抱くものの、自分にはその感覚は味わえないんだろうなぁという寂しさを感じる。 それは、自分が「何者になれるのか」、もっと言うなら「何者になれないのか」を受け入れる年齢にあるという思いがあるからなんだろう。

「何者になれないのか」を受け入れるなんていうのは、情熱の無い人間の言い訳なのかもしれない。 トップランナーになる必要はない。一人の市民ランナーとして単純に「走ることが好きだ」と言い、楽しめばいいじゃないか。

あ、本の内容に関することは何も書いてないや。

おしまい。