42.195kmの科学 マラソン「つま先着地」vs「かかと着地」 (角川oneテーマ21)
- 作者: NHKスペシャル取材班
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2013/08/12
- メディア: Kindle版
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以前、ランニングシューズは薄底がいいのか?ということを書きました*1。
その流れで、以下のブログを見て「つま先着地を実践するために薄底のシューズを履く」という風に理解しました。シューズどうこう以前に、「かかと着地よりもつま先着地がいい」という前提があっての話なんだなと。
http://kimuraisao.com/kimblog4athletes/?page_id=95kimuraisao.com
この本に「つま先着地はどれくらいいいのか」ということがという疑問に対するヒントが書かれていそうなので、シルバーウィークにポチって読んでみました。
目次
第1章 マラソンを高速化させた肉体の秘密
第2章 究極の“省エネルギー走法”
第3章 最強ランナーが生まれる驚異のビジネスモデル
第4章 人類が2時間を切る日 ~マラソン研究の最前線~
読んでみて
エチオピアのハイレ・ゲブレセラシェ、ケニアのパトリック・マカウという二人のオリンピック選手について、走り方や身体について科学的に分析している。その中でも、パトリック・マカウ選手について多く書かれている。
足への衝撃
ロンドンオリンピック日本代表の山亮選手はマカウに比べてよりかかとに近い部分(足底の後部から中部にかけての着地)で着地しているようだが、その二人の足の衝撃を分析してみると
着地をした瞬間にマカウの体が受ける衝撃は、体重(58㎏)の一・六倍、約93㎏分の衝撃になることが分かった。
一方、山本選手は、体重(60㎏)の二・二倍、132㎏分の衝撃を受けていることが分かった。つまり、つま先に近いマカウの着地の方が、体に受ける衝撃力が、約40㎏分も少なかったのである。
位置No.902
着地以外の要素もあるかもしれないが、距離を重ねるとこの差はかなり大きいと思う。
また、身体にかかるブレーキの大きさも山本選手の方が1.2倍も大きかったらしい。
つま先の着地の自由度
つま先からの着地は〝自由度〟が高く、地面と接触する際にも足の角度や速度を調節し易いという利点があるという。その一方で、かかとからの着地は〝自由度〟が低く、足の角度や速度を調節しにくい。その結果、足が地面に逆らうように接触してしまうため、衝撃も大きくなり易いという。
位置No.927
確かに、つま先の方が柔軟というか応用力がある。連続でジャンプするときもつま先立ちになるし、裸足で砂利道を歩くときもつま先立ちになる。
つま先着地をマスターできるか
いかに身体に負担を与えず(エネルギー効率よく)、前に進むかが大切なのでつま先着地の方が有利なのは間違いなさそう。
しかし、この本にはマカウ選手を初め、ケニアの選手達は子どもの頃から裸足に近い状態で生活していることにも触れている。その辺りを読んでみると、つま先着地は長い年月をかけて培われてきたものであり、長い間クッション製の高い靴に足を守られてきた自分には逆に負担がかかってしまうのかもという気にもなってしまう。
ただ、同じ日本に住む人がつま先着地を実践し始めて、膝の痛みがなくなったとか、そんな話も見かけるし、現に近くに実践している人もいるのでそれほど怖がる必要もないかなと思う。
まとめ
この本を含めて、今までの知識をまとめると、
人間の身体の構造的にはつま先着地が最も適しており、怪我の予防にも繋がる。
しかし、市販されているかかとにクッション製を持たせた靴ではそれが実践しづらい。なぜなら、かかとの方が厚くなっているのでつま先で着地しようとするとよりつま先立ちにならないといけなくなるから。ハイヒールでつま先立ちしようとするのをイメージするとよくわかると思う。
なので、底がフラットなシューズを履く方がつま先着地を意識しやすい。
ということかな。
おしまい。