- 作者: 植松努
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2013/01/29
- メディア: Kindle版
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著者の植松さんについては1年ちょっと前に下の動画で初めて知った。内容もさることながら、穏やかな、諭すような口調が印象的だった。
Hope invites | Tsutomu Uematsu | TEDxSapporo
この前本屋に行って、植松さんの本が何種類か平積みされているのを見つけた。気にはなったものの、買わずに帰ったところ、Kindleのセールでこの本が安くなってたので買って速攻で読んだ。
目次
第1章 僕たちの宇宙開発
第2章 「よりよく」を求める社会を作ろう
第3章 「夢」って何だろう?
第4章 教えてくれる人がいないなら、自分で学べばいい
第5章 楽をしないで努力を楽しもう
第6章 他のどこにもない経営方針
第7章 あきらめないで世界を変えよう
第7章 未来の社会をつくるために
読んでみて
読んでてあの口調でずっと語りかけられているようで、自分の心にしみいってくる感じがした。上のTEDの動画を観たことない人は、一度観てから本書を手に取るのがいいかもしれない。
僕にとって宇宙はお金を稼ぐ対象ではないからです。
宇宙開発には、もっと大切な意味があるように思えるからです。
僕は、宇宙開発はあることを実現するための手段だと考えています。
それは「どうせ無理」という言葉をこの世からなくすことです。 位置№76
TEDでも話していたけど、宇宙開発が会社の利益に全く関係ないというのは驚き。宇宙開発のために本業をがんばっているらしい。しかも、社長だけじゃなく社員全員ってことでしょ。
でも、そんなことよりなにより、植松さんのやりたいこと。『「どうせ無理」という言葉をこの世からなくすこと』。これも社員全員に浸透してるってことだよね。
すごいすごいって思いすぎなのかもしれないけど、ここまで「社員全員が同じベクトルを共有してる」会社って少ないんじゃないかと思う。
会社のあり方
僕たちが会社の稼働率を下げて、なるべく働く時間を短くしているのは、最低限の食いぶちは知恵を使ってさっさと稼いでしまい、余らせた時間で、未来のために違うことをやりたいからです。 位置№921
必要な稼ぎはさっさと確保して、やりたいことをやる。余裕があればこそ、新しい発想が浮かんでくる。カツカツにがんばって稼いだとしても将来はない。次の一手が打てないから。
これって、わかってはいるけど、なかなかできないことだよね。
本書に書かれているけど、稼働率を下げるためにできるだけ壊れない製品、ユーザにも修理できる製品を作っているらしい。保守費用でペイしようとしている会社も多いけど、植松さんの会社はそうじゃない。そして、それで成果を上げている。
親として、大人としてのあり方
自分が親として子どもにどう接するべきかってことを改めて考えさせられた。もちろん、子どもに「お前には無理やろう」なんて言うつもりはさらさらないけど。
僕たちが「普通」をつくりだしているわけです。僕たちは周りの人から影響を受け、そして周りの人に影響を与えています。普通というもののレベルは、いくらでも変えることが可能です。自分が子どもたちにどんな人になってほしいかを考え、それを助けるような「普通」というものをつくりだす必要があるのではないでしょうか。 位置№484
今まで生きてたなかで作られた「自分の普通」はあるけど、それよりもっと「自分にとって理想の普通」があったりする。その為に自分もより変わらないとなぁと思ったりしてるので、これについてはうんうんって感じ。
僕たちがすべきことは、自分自身や自分の子どもが標準かな、普通かなと考えることではありません。人が持っている未知なる可能性の輝きの使い道を考えることです。この子の輝きはいったい何に役立つのかな、自分の持つ輝きは何の役に立つのかなということを考えることではないでしょうか。 位置№1448
昔の日本人(?)の悪いところ。そんな一般化はよくないな。自分の悪いところ。前にブログに書いた*1けど、みんなと同じなら安心するとかなにそれって感じ。
そんなことより、その人の「好き」とか「やりたい」とか、そういう気持ちをしっかり尊重したい。
大人は、信じるに値する未来を、笑顔で全力疾走して追うべきなんです。僕が子どものころに読んだ子ども向けの本には、未来の姿がたくさん書かれていました。美しい未来の姿です。でも、今の子ども向けの本にはまるで書かれていません。僕らは信じるに値する未来を描くべきじゃないでしょうか。 位置№1484
大きな未来を描いてやることはできなくても、ちょっとしたことでも「大人っていいな」と思わせることはできる。楽しそうに仕事してる姿も見せるとか、趣味に夢中になる姿を見せるとか。そういった小さなことからでも影響を与えていきたい。
未来というものは、現在できることの先には絶対にありません。未来とは、未知なる進化の先にあるものです。子どもたちにあきらめ方さえ教えなければ、彼らは勝手に未来を切り開きます。どんなことでも、できる理由を考えればできるんです。できない理由を思いついたときは、それをひっくり返してください。それはできる理由になるんです。 位置№1527
ネガティブな思考をしてしまうことはある。でも、それを口に出さない。それだけでも相手への悪い影響を減らすことができる。そこからでもいい。そして、「じゃぁ、こうしてみたら?」が言える大人になろう。
おしまい。