キミと出会ったのはいつだったろう?正直、出会って数年間は否定的な感情を持っていた。
妻と一緒に暮らし始めてすぐだったろうか。だとすると、14年前。
それまで車オンリーの二人だったけど、うちにも自転車の1台くらいはいるんじゃない?ということで、フジグランの自転車屋に出かけた。
自分の頭の中にはハンドルが真っ直ぐ気味のシュッとした自転車を思い描いていた。
なのに、妻が気に入ったのはレトロな形をした自転車。高価な割りにカゴはないし、レトロな感じだし、自分にとってはお世辞にも使いやすそうとは思えないタイプ。唯一の救いは7段変速だったこと。
松山で買い、関西に引っ越す際も持って行き、西神中央で活躍し、また松山に連れて帰った。
松山に帰ってからの8年間、通勤用自転車として毎日俺を運んでくれた。 思い返せば、この8年の間にいろんなことがあった。
出会った時はイマイチだった彼は、いつの間にか大事な相棒になっていた。
それなりに乗れるし、買い替えるほどではないと自分を騙し騙し使っていた。最近はクランクのがたつきが気になり始めたが、ちゃんと前には進む。 自転車に鍵をかけてなくても盗られることもない。すばらしい。
が、久しぶりに乗った妻が一言。
「自転車そろそろアカンのじゃない?」
あ、やっぱり?
おしまい。