ワーク・シフト ─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>
- 作者: リンダグラットン
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2012/09/28
- メディア: Kindle版
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4月14日のタイムセールで買った本。積ん読をやっと消化した感があるが、読んでよかった。
目次
プロローグ 働き方の未来は今日始まる
序章 働き方の未来を予測する
《第1部 なにが働き方の未来を変えるのか?》
第1章 未来を形づくる五つの要因
《第2部 「漫然と迎える未来」の暗い現実》
第2章 いつも時間に追われ続ける未来―三分刻みの世界がやって来る
第3章 孤独にさいなまれる未来―人とのつながりが断ち切られる
第4章 繁栄から締め出される未来―新しい貧困層が生まれる
《第3部 「主体的に築く未来」の明るい日々》
第5章 コ・クリエーションの未来―みんなの力で大きな仕事をやり遂げる
第6章 積極的に社会と関わる未来―共感とバランスのある人生を送る
第7章 ミニ起業家が活躍する未来―創造的な人生を切り開く
《第4部 働き方を<シフト>する》
第8章 第一のシフト―ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ
第9章 第二のシフト―孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ
第10章 第三のシフト―大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ
エピローグ 未来のために知っておくべきこと
読んでみて
3つのシフト
今後、幸せな職業生活を送るために今までの考え方をどう変えて行く(シフトさせる)必要があるかの提言がなされている。 シフトさせるのは下の3つ。
第一の<シフト>
広く浅い知識しかもたないゼネラリストから、高度な専門技能を備えたスペシャリストへの<シフト>
第二の<シフト>
孤独に競い合う生き方から、ほかの人と関わり協力し合う生き方への<シフト>
第三の<シフト>
大量消費を志向するライフスタイルから、意義と経験を重んじるバランスの取れたライフスタイルへの<シフト>
具体的にはというと
〈第一のシフト〉で目指すのは、専門技能の習熟に土台を置くキャリアを意識的に築くこと。一つのものごとに集中して本腰を入れることが出発点となる。 location 1306
〈第二のシフト〉は、せわしなく時間に追われる生活を脱却しても必ずしも孤独を味わうわけではないと理解することから始まる。目指すべきは、自分を中心に据えつつも、ほかの人たちとの強い関わりを保った働き方を見いだすこと。 location 1311
しかし、時間に追われる日々を避けるうえで最も有効なのは〈第三のシフト〉だろう。消費をひたすら追求する人生を脱却し、情熱的になにかを生み出す人生に転換することである。ここで問われるのは、どういう職業生活を選ぶのか、そして、思い切った選択をおこない、選択の結果を受け入れ、自由な意思に基づいて行動する覚悟ができているのかという点だ。 location 1318
それぞれのシフトを個別に捉えると、「ん?」と思うこともある。しかし、3つをあわせて考えるといってることは間違ってない。
特定分野のスペシャリスト一人ではどこかで行き詰まるだろう。例えば、どんなに技術を持っていても、営業ができて仕事をとってくる(仕事にする)ことができなければ生活に困る。
それぞれのスペシャリストが横に繋がって、一緒に仕事を進める感じ。その中には技術分野に長けた人もいるだろうし、人と人を繋げる技術に長けた人、ビジネスとして展開にするのに長けた人だっているかも知れない。
本書でフォーカスされているのは各個人のことであり、「フリーランス」のイメージが強いが、会社組織に属している人にも少なからず同じことが言えると思う。まぁ、会社の垣根を越えてというのはもちろん、部門の垣根を越えてという働き方すら難しい組織もあるんだろうけど。
三つのタイプの人的ネットワーク
未来の世界には、孤独にあくせく競い合うのではなく、ほかの人たちとつながり合いながら、もっとイノベーション精神を発揮できるようになる可能性が果てしなく広がっている。 そのような働き方の未来を切り開くためには、三つのタイプの人的ネットワークを積極的に築いていく必要がある。第一は、「ポッセ(同じ志をもつ仲間)」。いざというときに頼りになり、長期にわたって互恵的な関係を築ける少人数のグループのことだ。第二は、「ビッグアイデア・クラウド(大きなアイデアの源となる群衆)」。多様性に富んだ大人数のネットワークのことだ。スケールの大きなアイデアや新たなコネをもたらす機能を果たす。このネットワークに属する人たちとは、バーチャル空間だけを通じた付き合いでもかまわない。第三は、「自己再生のコミュニティ」。頻繁に会い、一緒に笑い、食事をともにすることにより、リラックスし、リフレッシュできる人たちのことだ。 location 1810
それぞれ重なり合うところはあるが、自分にとって「ポッセ」「ビッグアイデア・クラウド」「自己再生のコミュニティ」それぞれ、思い当たるネットワークがある。「ビッグアイデア・クラウド」はビッグじゃないけどね。
無くなる世界の垣根
本書で書かれている未来は確かにあり得そうである。ネットを通じて世界中の人と繋がって仕事を進める。すばらしいじゃないか。
しかし、そんな世界を想像しながらかき立てられる不安もあった。言語という大きな壁に阻まれている英語が苦手な日本人(特に俺)は今後どうなっていくんだろう…と。
今後、国策として英語教育に力を入れていくことになるだろう(それが有効かどうかは置いといて)し、数年後には自動翻訳で母語のままコミュニケーションを取れるようになっているのかもしれない。
身の回りで考えると、リモートワークすら普及してない現状でいきなり世界と繋がってという状態になるにはまだまだ時間がかかりそうではある。ぶっちゃけ、自分が生きてる間は来ないかもしれないという消極的な考えが頭をよぎるが、世界と繋がって~とまではいかなくても、日本中、愛媛の人と直接繋がりを持って仕事・活動ができたらいいなと思う。
まとめ
4年前に発売された本だけど、そこに書かれている将来の世界は今の世の中でもその兆候を感じることができるので納得感があった。自分の周りの環境、人達がそれに近いことをしているからそう感じるのかもしれない。
Kindleのハイライトを読み返してみると改めていいこと、今後の職業人生に役立つこと、意識すべきことが書かれている。定期的に読み返すなりして意識したい。
それより何より、行動すべき。技能の向上、人的ネットワークの構築。簡単に言うと、これだと思う技術かつ自分が好きな技術を徹底的に追いかける、そして、いろんな人と合って交流を深める。たったそれだけ。なんだ、簡単じゃないか。
そして、選択するためには何かを捨てる必要がる事を意識する、覚悟する。
おしまい。